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短腸症候群(SBS)とは?

ホームSBSについて“学ぶ”短腸症候群について > 短腸症候群(SBS)とは? > 腸管を切除すると、体はどう変化するの?

監修:大阪大学大学院医学系研究科 医学科教育センター 教授 和佐勝史先生

腸管を切除すると、体はどう変化するの?

栄養吸収の変化

腸管は、部位によって吸収できる栄養素が異なります(図3)。そのため、切除した部位や長さによってSBS患者さんの吸収できる栄養素や量が違ってきます。
ビタミンB12と胆汁酸以外の栄養素は空腸で吸収されるため、空腸を切除した後は著しく栄養吸収が低下しますが、回腸の絨毛が伸びてくるので機能が高まり、栄養の吸収は改善します。そのため、回腸があるかないかはSBS患者さんにとって重要なポイントとなります。

図3 正常腸管での各種栄養素の吸収部位

千葉正博ほか:臨床栄養:117(6):645-651,2010

また、結腸が残っている場合は、水分や電解質の喪失が少ないことが知られています。特に、回盲部が残っているかどうかは、SBS患者にとって重要です。

図4 小腸の部位

腸管切除術後の腸管の変化

腸管順応

腸管を切除すると吸収できる腸管が短くなるため、栄養素の吸収が十分に行えなくなります。しかし、残った小腸は栄養素や水分の吸収力を高めようと変化が起こります。これを腸管順応といいます。
短くなってしまった残りの腸管は、腸管粘膜の肥厚や粘膜絨毛高と腸上皮細胞数の増加などの構造的な変化で、機能が改善することが知られています。

図5 腸管順応で起こる絨毛の伸び

腸管順応を促す生体成分

腸管順応(残った腸管で、より多くの栄養素や水分を吸収できるようにするための腸管の変化)は、次のようなさまざまなホルモンや生体物質による刺激で起こります。

・GLP-2(グルカゴン様ペプチド-2)

・成長ホルモン(GH)

・グルタミン

・各種増殖因子 など

豆知識【グルタミンとは・・・】

グルタミンは血中に最も多く含まれているアミノ酸です。また、腸管粘膜の細胞の主なエネルギー源になっており、腸管粘膜の構造を維持するために必要な成分といわれ、腸管の免疫機能を改善することが知られています。

豆知識【増殖因子とは・・・】

各種細胞の成長を促進する生体物質。細胞の種類によって成長因子の働きは異なります。腸管に作用するものとして、上皮細胞に対する上皮成長因子(EGF)や肝細胞に対する肝細胞増殖因子(HGF)などがあります。

GLP-2(グルカゴン様ペプチド-2)

小腸や大腸の粘膜細胞で分泌される33個のアミノ酸からできている生体物質です。
消化管に対しては、次のような働きがあります。

・消化管粘膜の成長を刺激する

・栄養素の吸収をよくする

・胃からの排出を抑える

・胃酸分泌を抑える

・消化管の血液の流れをよくする  など

腸管順応の3つのステップ

腸管を切除してから腸管順応が始まり、段階的に腸管の状態は変わっていきます。手術後の経過期間による腸管の状態の変化を表1に示します。

表1 SBSの手術後の腸管の状態と栄養管理

期間 病態と栄養管理
第1期 術後1ヵ月以内 腸管麻痺期(術後2~7日)

多量の下痢にともなう水分と電解質成分が失われる

・中心静脈栄養(TPN)は必須

腸管蠕動(ぜんどう)亢進期(術後3〜4週間)
第2期 術後1~3ヵ月

消化や吸収能力が改善する

下痢が改善する

・経腸栄養を開始する

第3期 術後4~12ヵ月

腸管の機能が回復する

・経腸栄養への移行、TPNからの離脱

日本静脈経腸栄養学会 編集:日本静脈経腸栄養学会 静脈経腸栄養ハンドブック、2011年6月第7版、P373より作図