監修:
おいしい健康 管理栄養士
藤田医科大学病院 食養部 係長
管理栄養士/食物栄養学博士/米国栄養サポート臨床師
一丸 智美 先生
分食(少量頻回食)のとり方と工夫
短腸症候群(SBS)患者さんが食事をとる時の工夫に、少なめの食事を回数多く食べる分食(少量頻回食)という方法があります。少量の食事をこまめに食べることで、胃腸や消化吸収の負担を軽減、下痢を予防する食事方法です。
ここでは、一般的な分食の方法をご紹介します。
分食(少量頻回食)のタイミング
分食は少量の食事を、朝・昼・夕食3回+数回の間食(補食)、1日で合計4〜8回、食事をとる方法です。お腹が空きすぎると早食いの原因になるので、空腹をなるべく避けるためにも一度に食べられる量、そして学校や仕事など、自分のライフスタイルに合わせて、食事をとり入れます。
分食のエネルギーや分量の考え方
1食当たりの量を減らし、間食も組み合わせながら1日6〜8回程度の食事で、1日に必要な栄養素を摂れるように考えます(TPNと食事を併用されている方は、食事のエネルギーや分食の回数は担当の医師、管理栄養士に相談の上、行ってください)。
例えば、食事から3食の量を少なめにし、残りを数回に分けて間食で補います。自分の体調に合わせて分量を調整してみましょう。
間食は、エネルギー源となる炭水化物、たんぱく質、ビタミン類、カルシウムが摂れるもので組み合わせるのがおすすめです。
食べ方と水分のとり方の工夫
SBS患者さんは、食べる速度も大切です。少量ずつ、よく噛んで食べることで、胃腸に負担をかけにくくなります。
また、食事中に大量の水を飲むと腸へ一度に流れ込み、食べたものがうまく消化されないことがあります。そのため、食事時には水分をコップ半分程度に抑えます。食後は少なくとも1時間は待ってから、徐々に水分をとり入れるのがよい方法です。さらに、非常に熱いまたは冷たすぎる飲み物は控えましょう。
治療の一環として、分食が必要なこと、時間をかけて食べる必要があることを周りの人にも理解してもらい、落ち着いて食事をとることができる環境を確保するのも大切です。
SBS患者さんは、残存している小腸の部位や体質によって個人差が生じます。担当医師や管理栄養士と相談しながら、自分にあった食事方法をみつけていきましょう。
1日に摂取するエネルギーやたんぱく質については、医師、管理栄養士にご相談ください。